1. 日本生命保険トップ
  2. 知る・楽しむ
  3. 新社会人のための経済学コラム
  4. 第125回 マイナンバーカード普及とマイナポイント 〜マイナンバーカードを取得すれば5,000円もらえる!?

3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第125回 マイナンバーカード普及とマイナポイント 〜マイナンバーカードを取得すれば5,000円もらえる!?

2020年7月1日

マイナンバーカードとは〜電子証明書とオンライン手続

 2015年10月以降、住民票を有する全ての人にマイナンバーが通知され、また、個人の申請によりマイナンバーカードが交付されるようになりました。マイナンバーカードの券面には、マイナンバーに加え、基本の4情報(氏名、住所、生年月日、性別)、顔写真などが記載されており公的な本人確認書類として利用可能です。また、カードには「電子証明書」機能が搭載されており、オンライン手続を可能にします。

 電子証明書とは、インターネット上などでの身分証明書のことです。電子証明書を利用する際には、電子証明書が搭載されたマイナンバーカード等の実物がなくてはならないため、「ID+PW(パスワード)」等の情報のみのキーと比べセキュリティレベルが高いです。そのため、行政サービスのような重要な情報を伴う手続きの際などのセキュリティとして使用されます。今回の新型コロナウイルスに対する給付金も、マイナンバーカードを持っていれば、カード搭載の電子証明書機能を使うことによりオンライン申請が可能となっています。

 政府は、この電子証明書を搭載したマイナンバーカードにより、行政手続のデジタル化を進めようと考えています。

マイナンバーとマイナンバーカード

<マイナンバー>
● 日本国内の全住民に指定・通知される12桁の番号
● マイナンバー法で定められた「社会保障」、「税」、「災害対策」分野に限って使用
<マイナンバーカード>
● マイナンバーの通知後、個人の申請により交付される写真入りのカード
● マイナンバーの確認と本人確認が行える
● ICチップ内には、電子的に個人を証明する電子証明書を搭載
● マイナポータルのログインが行える
<その他>
● マイナンバーカードの表面は身分証明書として、官民問わず利用可能
● マイナンバーカードの電子証明書の利用には、マイナンバーは使用しない

(資料)総務省HP等よりニッセイ基礎研究所作成

マイナポイントとは、その狙いは

 今年の9月からマイナポイント事業が開始される予定です。マイナポイントとは、マイナンバーカードと紐付けした交通系ICカードや、クレジットカードなどのキャッシュレス決済手段で、チャージや決済をした際に、上乗せして付与されるプレミアムポイントです。プレミアム率はチャージ額または購入額の25%で、上限5,000円分となります。商品購入の際は、チャージ金額とプレミアム分の合計を利用して決済を行うことができます。

 6月末まで実施されていたキャッシュレス還元と比べると、ポイント獲得までにはいくつかの手続きが必要です。キャッシュレス決済による還元は、特に手続きをする必要はなく、中小企業等においてクレジットカードなどのキャッシュレス決済を利用すれば、自動的に割引やポイント還元が行われます(※1)。一方で、マイナポイントは、マイナンバーカードを取得していることが必要で、さらにスマートフォンかパソコンからキャッシュレス決済手段に紐付けし、チャージ等をすることで付与されます。

 政府はマイナポイント事業によって、①キャッシュレス還元終了後の消費活性化、②キャッシュレス決済の普及、③低迷するマイナンバーカード普及のてこ入れ、の3つの目的を達成しようと考えています。
特に、上述したようにマイナンバーカードは行政のオンライン手続に必要不可欠な電子証明書を搭載したカードですが、未だ交付率は16.4%(5月1日時点)と低調です。

 「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」では、今後のマイナンバーカード普及に向け、自治体ポイント(マイナポイント)の実施(2020年9月開始予定)、マイナンバーカードの健康保険証利用(2021年3月開始予定)等により、2022年度中にほとんどの住民がマイナンバーカードを保有することを想定しています。政府は、マイナポイントの導入により、思うように普及が進まないマイナンバーカード取得へ、弾みをつけたいと考えています。

(※1)ただし、一部のキャッシュレス手段では、ポイント還元のための事前手続が必要

マイナンバーカード交付枚数の実績と想定

(ニッセイ基礎研究所 清水 仁志)

筆者紹介

清水 仁志(しみず ひとし)

株式会社ニッセイ基礎研究所、総合政策研究部 研究員・経済研究部兼任
研究・専門分野:日本経済