総代会・総代懇談会

第73回定時総代会議事要旨(質疑応答の要旨)

2020年7月2日(木曜日)、午前10時30分から、大阪市北区中之島五丁目3番68号、リーガロイヤルホテルにおいて、第73回定時総代会を開催した。

総代数 198名
出席総代数 198名(うち、委任状による出席141名)

なお、委任状による出席者のうち、117名については、支社または東京本部(丸の内ビル)等にて、社内衛星放送を通じ総代会の審議等の状況を確認し、質問等もできる環境で参加していた。

出席取締役(取締役20名中、出席取締役14名)
清水博(議長 兼 議事録作成者)、古市健、中村克、赤林富二、松永陽介、三笠裕司、井出口豊、藤本宣人、朝日智司、山内千鶴、岩﨑裕彦、大神哲明、長谷川靖、田中聡
なお、筒井義信、有馬朗人、牛島信、今井和男、三浦惺については、東京本部(丸の内ビル)にて、社内衛星放送を通じ総代会の審議等の状況を確認し、質疑応答にも対応できる環境で参加していた。戸田和秀については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う豪州の入国規制措置のため、豪州にて、社内衛星放送を通じ総代会の審議等の状況を確認していた。
出席監査役(監査役6名中、出席監査役1名)
小林一生
なお、今井敬、豊泉貫太郎、但木敬一、佐藤良二、内海弘毅については、東京本部(丸の内ビル)にて、社内衛星放送を通じ総代会の審議等の状況を確認し、質疑応答にも対応できる環境で参加していた。

総代からの書面等による事前質問に対し、全ての質問に対する回答を資料として配付しており、そのうちの代表的なテーマについて、議長および担当役員から回答を行った。

質問1

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、日本生命において顕在化した、または再認識した課題はあるか。あれば、対応の方向性も含めて教えてほしい。

質問2

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業への影響期間や規模はどの程度と予測しているのか。また、どのような対策を検討しているのか。

質問3

新型コロナウイルス感染症への対応により、改善された点や前向きに評価できる点はあるか。

質問1~3への回答

  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当社の事業への影響については、主に3点あると考えている。
  • 1点目は、保険販売である。緊急事態宣言下において、感染防止の観点から訪問活動の自粛等を行っていた。この間、電話やメール等でお客様の健康状態をお伺いし、保険金・給付金の支払事由発生有無の確認や「保険契約等の特別取扱い」のご案内をしてきた。
  • この「保険契約等の特別取扱い」の受付状況は、これまでの災害と比べても、大変多くなっており、新型コロナウイルス感染症の影響は、お一人おひとりの生活に広く及んでいることを改めて認識している。
  • 従って、引き続き、お客様お一人おひとりの状況をお伺いし、お客様のお気持ちに寄り添い、きめ細やかなサービスを提供することが大切であると考えている。
  • 一方で、訪問活動の自粛等を行っていたため、新契約の取扱いは、大きく減少している。
  • 緊急事態宣言解除後は、お客様のご了解を得たうえで訪問を再開しており、今後、訪問に加え、デジタル等を活用し、お客様お一人おひとりのご意向に応じてオーダーメイドで組み立て、お客様サービスの充実と新契約業績の回復に努めてまいりたい。
  • 2点目は、資産運用である。2019年度決算では、新型コロナウイルス感染症に伴う市場環境の変動により、有価証券評価損が発生したものの、利回り向上を企図した外国債券の入れ替えやこれまで取り組んできたデリバティブ取引の活用等により、影響は限定的にとどまった。
  • 一方、未だに世界的には感染が拡大しており、収束が見通せない状況であることから、不透明な経済状況と金融市場の変動はこれからも続くことが見込まれる。
  • こうした環境の中、中長期的に安定した収益を獲得するため、これまで通り、分散に留意したポートフォリオの構築や、投資案件の選別、リスク事象の洗い出し等に取り組んでまいりたい。
  • 3点目は、働き方についてである。緊急事態宣言の発令以降、営業職員の訪問活動の自粛に加え、本部や全国の支社等でも、交代制勤務やテレワークを通じて、感染防止と企業活動の両立に努めてきた。
  • 一方で、テレワークを実施するうえでシステム面等での課題も顕在化しており、今後は働き方の多様化、そしてそれを可能にするデジタル化等のインフラの整備を、より一層進めていく必要があると考えている。
  • なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当社の事業への影響期間や規模は、現時点では見通し難いため、今後、状況を分析したうえで、適宜経営計画を見直し、対応してまいりたい。

質問4

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、フェイス・トゥ・フェイスの顧客対応が難しい状況であったと思う。先端ITの導入加速も含め、今後の顧客対応をどう考えているか。

質問5

新型コロナウイルス感染症により新生活様式が要求されているが、日本生命の対面式営業に変わりはないか。

質問6

フェイス・トゥ・フェイスの活動にあたって、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策をどのように実施しているか。また、今後の活動の方向性を教えてほしい。

質問7

新型コロナウイルス感染症の第二波を想定した、今後の営業方法について、例えばオンライン会議システムを通じたフェイス・トゥ・フェイス等、どのように考えているのか。

質問8

新型コロナウイルス感染症による自宅待機期間において、営業職員はどのように営業活動やお客様へのフォローをしていたのか。

質問9

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、健康の大切さを多くの人が実感する今こそ、生命保険が求められる時代であると感じている。感染拡大の防止と、フェイス・トゥ・フェイスとの両立に向けた取組を教えてほしい。

質問10

営業職員の新たなお客様対応手法として、ビデオ会議ツールを活用した保険セミナーや販売の促進を検討してはどうか。

質問11

営業職員による対面営業が日本生命の特色の一つである中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向け、お客様と営業職員の安全・安心に配慮した新しい営業方法、働き方についての取組を教えてほしい。

質問4~11への回答

<緊急事態宣言発令期間の取組>

  • 当社においては、4月7日の緊急事態宣言の発令以降、5月末まで、訪問による対面営業を行う営業職員を在宅勤務とし、新契約の加入勧奨等の営業活動を自粛していた。
  • 在宅勤務中は、お客様の状況に応じて、電話・メール・郵送等を通じた保険金・給付金の支払事由発生有無の確認や「保険契約等の特別取扱い」のご案内、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた情報提供といった活動を行うとともに、営業職員自身のコンサルティングスキルの研鑽に向けた在宅学習に取り組んでいた。
  • また、保険金・給付金支払いについては、「保障責任の全う」と「感染拡大防止」を両立すべく、原則として郵送による手続きを実施していた。

<緊急事態宣言解除後の取組>

  • 6月1日より、世の中の環境を踏まえつつ、安全面への配慮を充分に行ったうえで、訪問等の営業活動を順次再開している。
  • 具体的には、お客様のもとへお伺いする際は、お客様に訪問のご了解を得たうえで、「検温」「マスクの着用」「除菌(手洗い・うがい等)」を徹底している。
  • なお、自宅への訪問を希望されないお客様に対しては、アクリルパーテーション等の間仕切りを設置し、感染拡大防止に配慮した来店窓口での対応を実施している。
  • 加えて、営業職員の勤務に関しては、午前・午後に分けた交代制勤務や、ソーシャルディスタンスを考慮した座席配置等、職場環境の整備に取り組んでいる。
  • また順次、営業職員へのスマートフォンの配備を進めており、「LINE WORKS(ラインワークス)」等の活用を通じた以下の営業活動等にも取り組んでいる。
    • 対面を要さずに完結する情報収集(キャンペーンの企画・発信)
    • メールを活用した提案活動
    • お客様訪問時の指導者層によるオンライン同席(入社初期職員へのフォロー)
    • スマートフォンを活用したオンライン研修の導入           等

<今後の取組>

  • こうした活動を通じ、「保険契約等の特別取扱い」の受付状況が、これまでの災害と比べても大変多くなっている等、今般の新型コロナウイルス感染症の影響がお一人おひとりの生活に広く及んでいることを改めて認識している。
  • 従って、お客様への丁寧な対応に取り組むべく、今後も営業職員がお客様のお気持ちに寄り添い、フェイス・トゥ・フェイスで、きめ細やかなサービスを提供することが大切であると考えている。
  • 一方で、オンライン等でのコンタクトに便利さを感じられるお客様もいらっしゃることから、これらを自在に活用し、お客様お一人おひとりのご意向に沿った対応ができる職員の育成が重要であると認識している。
  • これまでのフェイス・トゥ・フェイスの活動に加え、デジタル等を活用し、今までアプローチできていなかった新しいお客様も含め、多様化するニーズに対応できるよう取り組んでまいりたい。

質問12

新型コロナウイルス感染症によりデジタルトランスフォーメーションへの対応が重要な経営課題となる中、今後のビジネスモデルについて、戦略をお伺いしたい。

回答

  • 当社では、デジタル化と先端IT活用は、業務を高度化し、新たな価値を生み出す大きな力を持っていると考え、これまでも以下のとおり、積極的に進めてきた。
    • 2012年度 社外で通信可能な営業職員用端末(REVO(レボ))の導入・新契約手続きのペーパーレス化
    • 2016年度 営業職員用端末による保全手続きのペーパーレス化
    • 2016年度 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の全社展開による業務の自動化
    • 2019年度 営業職員用タブレット型端末(TASKALL(タスカル))の導入・カメラによる文字読取機能の導入
  • また、「イノベーション開発室」の設置や、米国シリコンバレー等、複数の海外拠点への職員の派遣を通じ、先端ITに関する情報収集や新技術の研究を進めている。
  • こうした中、2019年度から「デジタル5カ年計画」を開始し、「既存保険サービスの高度化(業務変革)」と「新たな価値提供に向けたイノベーションの創出(事業変革)」に取り組んでいる。
  • まず、「既存保険サービスの高度化(業務変革)」に向けては、営業職員等のコンサルティング力向上やお客様の利便性向上を進めている。
  • 具体的には、2020年1月以降、営業職員用スマートフォンを順次導入しており、AIを活用して営業職員のコンサルティング力の向上を進めている。また、お客様の利便性向上に向けては、生体認証の導入や、アプリ上で完結する手続きの拡大等、スマートフォンアプリの機能充実を図っており、今後もこうした取組を発展させてまいりたい。
  • 次に、「新たな価値提供に向けたイノベーションの創出(事業変革)」に向けては、ビッグデータを活用した新たな商品・サービスの創出や、新たなビジネスモデルの創造を進めてまいりたい。
  • 足もとでは、ヘルスケア領域において、「ニッセイ健康増進コンサルティングサービス(Wellness-Star☆(ウェルネススター))」を通じて、健康診断等のデータを取得しており、今後、このデータを活用し、保険の引受範囲の拡大等、保険事業の高度化の検討を進めてまいりたい。
  • また、この4月には、「Nippon Life X(ニッポンライフエックス)」を立ち上げ、オープンイノベーションによる外部の企業との協業体制も強化し、イノベーション創出に向けた取組を加速させている。
  • こうしたデジタル化の取組を通じて、既存事業の効率化と新規ビジネスへの進出等、事業の構造改革に取り組み、さらなる成長の原動力にしてまいりたいと考えている。

質問13

デジタルトランスフォーメーションの推進に向けて、外国企業を含む関連企業との提携等を検討しているのか。

回答

  • デジタルトランスフォーメーションとイノベーションの推進に向けては、新しい技術やソリューションの積極的な活用も必要であると考え、それらを提供する企業の情報収集や協業に向け、以下のとおり取り組んでいる。
    • 2015年に野村総合研究所と資本業務提携契約を締結し、先端ITの活用によるシステム態勢の高度化、新たな保険ビジネスモデルの検討について、協力して進めている。
    • 2016年より、シリコンバレーに本社を置く世界的なアクセラレーターであるPlug and Play Tech Center(プラグアンドプレイテックセンター)に加盟し、国内外のベンチャー企業の調査および有望企業との協業に向けた活動を実施している。
    • 2017年より開始したヘルスケア領域では、遠隔コミュニケーションアプリを提供するMICIN(マイシン)や、バイタルデータを簡便に取得できるデバイス等を提供するAbbott(アボット)等の企業と協力し、取組を進めている。
  • また、上記に加え、当社職員がシリコンバレーに6名、ロンドンに1名、北京に1名駐在しており、東京も含めたグローバル4極の体制のもと、先端ITに関する情報収集や新しい技術の研究を進めている。
  • 引き続き、デジタルトランスフォーメーションとイノベーションの推進に向け、有望企業の発掘や機動的な提携・出資を行ってまいりたい。

質問14

デジタルトランスフォーメーションの推進に向けて、どのように人材確保を行っているのか。また、大学や関連企業との連携等を通じ、役員・職員に対し、研修・教育等を実施しているのか。

回答

  • 当社の持続的な成長にあたり、デジタル技術の活用は不可欠であることから、「高度専門人材の確保」と「全社的なデジタルリテラシー向上」の両面から、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)推進の担い手となる人材の確保・育成に向けた対応を図っている。
  • 1点目の「高度専門人材の確保」については、新卒採用時に「IT戦略コース」を設定し、高いIT素養を持つ人材の採用を強化するとともに、毎年20名程度の若手層をグループ子会社のニッセイ情報テクノロジーも含めたIT部門に配属することで、DX推進に必須であるプログラミング等の開発経験を有する人材の確保に努めている。
  • さらに、こうした専門人材のスキルの高度化に向けて、ニッセイ情報テクノロジーと連動したグループ一体での育成体系の構築に加え、とりわけ技術進歩が速いデジタル・先端IT領域では、大学や関連企業からの知見が必要不可欠であることから、産学連携取組である「東京大学数理データ・サイエンスコンソーシアム」やDX関連企業への派遣を実施している。
  • 2点目の「全社的なデジタルリテラシー向上」については、ニッセイ基礎研究所等の外部機関と連携し、先端IT等の技術動向や活用事例に関する社内セミナーを開催している。また、若手層への初期教育として、社会変化に対応できるデジタルリテラシーを備え、新たな価値創造ができるスキルを全員に習得させる観点から、プログラミングやデータ分析等の基礎コンテンツを必修化している。
  • 引き続き、DX推進の担い手となる人材の確保・育成に向けて、「高度専門人材の確保」と「全社的なデジタルリテラシー向上」の両面から取組を進めてまいりたい。


以上の他、下記事前質問については、配付資料にて回答を行った。

質問15

新型コロナウイルス感染症に伴う新規の契約貸付の利息免除は、契約者にとって極めて有効な援助策であった。第二波に備え、期間の延長や、金利の引き下げを実施してほしい。

回答

  • 契約貸付制度は、一時的に金銭を必要とする場合に、契約内容に応じて所定の範囲内で生命保険会社が貸付を行う制度であり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の2018年度においても、年間約80万件程度と多くのご契約者にご活用いただいている。
  • 当制度の貸付金については利息を付加している。生命保険においては、あらかじめお約束した利回りで割り引かれた保険料を、安全性・収益性等を勘案したうえで運用し、将来の保険金等の支払いに備える必要があることから、契約貸付についても同様の目的で利息を付加するものである。
  • 当社では、これまでも「東日本大震災」や「熊本地震」等の大規模災害等の発生時には、金銭面でお困りのご契約者のご負担を少しでも軽減させていただきたいという想いから、災害救助法適用地域のご契約者を対象に、契約貸付の利息減免という特別対応を実施した。
  • そして、今回の新型コロナウイルス感染症についても、その感染拡大の影響の大きさに鑑み、同様の特別対応を実施し、緊急事態宣言の発令地域が全国に拡がる中、多くのご契約者にご利用いただいている。
  • 今般、緊急事態宣言および各自治体からの休業要請も段階的に解除された中、金銭面でお困りのご契約者のご負担を少しでも軽減させていただきたいという想いと、契約貸付も運用手法の一環であり、お約束した利回りを確保する必要があるという側面等を総合的に勘案し、利息免除の受付期間を6月末までとさせていただいた。
  • 一方で、ご指摘のとおり感染拡大の第二波の発生も懸念されることから、社会情勢や今後の政府・自治体の方針等も注視しつつ、状況に応じ、対応を検討してまいりたい。

質問16

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中で、地方自治体との包括的連携協定を踏まえて、実施済または実施予定の事項・活動について教えてほしい。

回答

  • 当社では、地域の活性化に貢献するため、現在31道府県と包括的連携協定を締結しており、地域の実情に応じた課題の解決に取り組んでいる。
  • 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中では、包括的連携協定を締結している各地方自治体からのご要望を踏まえ、以下の取組を実施している。
    • 地方自治体が、法人向け融資等の支援策や個人向けの感染防止策等の新型コロナウイルス感染症に関する情報を周知するにあたり、営業職員も協力し、地域の皆様へ、メールや郵送等でご案内している。
    • 売上に大幅な影響を受けた特産品事業者の支援に向け、各地方自治体の特産品販売サイトを当社の社内ホームページに掲載し、当社職員による購入を通じて地域を支援する環境を整えている。
  • 引き続き、地方自治体のご意向を伺いながら、当社としていかに各地域のお役に立てるのかという視点で検討を進め、地域貢献につながる活動に取り組んでまいりたい。

質問17

今年の総代会は、新型コロナウイルス感染症の対応でデジタル技術を活用し、地方にも分散した開催となったが、その評価・総括をしたうえで、来年以降の開催方法の検討に活かしてほしい。

回答

  • 今年の総代会においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、「総代、当社役員・職員の安全の確保」「法的安全性」を最優先としつつ、相互会社の趣旨を踏まえ、多くの総代方にお越しいただける運営とするため、全国の支社等も会場として用意した。
  • 全国の支社等の会場では、極力議場にご出席いただいた場合に近い状況で総代方にご参加いただけるよう、社内衛星放送を通じ、議事をリアルタイム視聴のうえ、パソコンのシステムを活用し、質問等も可能な環境とした。
  • ご指摘のとおり、初めての取組となった今年の運営について、総代方からご意見・ご感想等をお伺いするとともに、社内においても、役員・全国の支社・事務局等で振り返りを行ったうえで、評価・総括し、来年以降の総代会運営に活かしてまいりたい。
  • 当社は、相互会社として、社員代表である総代方には、経営陣と対面で審議を尽くし、決議いただくことが大切であると考えている。こうした考えを基本としつつ、デジタル技術を活用し、いかに総代会運営を発展させていくことができるかという視点で、技術の進展や通信環境、他社事例、法整備の状況等も注視しつつ、分析・検討を進めてまいりたい。

質問18

豪州子会社MLCの今後の展望について教えてほしい。

回答

  • 当社は2016年10月に豪州のMLCを買収し、子会社化した。以降、2018年度までは、事業態勢の整備を進めるとともに、順調に収益を確保してきた。
  • しかしながら、2019年度より、豪州では、所得補償保険の支払増加等が生命保険業界全体の課題となり、とりわけ当商品を主力商品の一つとしているMLCにおいては影響が大きく、2019年12月決算で赤字に陥る等、収支が悪化した。
  • さらに、2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、さらなる業績の下押しリスクへの対応が必要となった。
  • 当社は、MLCの収益性と健全性強化に向け、2019年12月に約174億円、2020年6月に約240億円と、二度にわたる増資を実施した。
  • 総代方にはご心配をおかけしているが、現在、当社とMLCが一体となってMLCの収支改善を推進する枠組みを構築する等、当社としてもMLCに対するサポートとガバナンス態勢を強化し、MLCの3カ年計画(2020-2022)の遂行に取り組んでいる。
  • MLCの3カ年計画で取り組むべき主なポイントは以下のとおりと考えている。
    • 足もとの業績悪化の主因である、所得補償保険の黒字化に向けた保険料値上げや商品改定等
    • 構造的課題である事業費の削減
    • 事務・コストの効率化と同時に、商品・サービス開発力強化に資する先進的なシステムインフラの構築
  • 今後も厳しい経営状況が続いた場合には、さらなる資本対応の必要性も想定されることから、当社としては、MLCと連携を密に図り、状況を注視するとともに、MLCに対するサポートを行ってまいりたい。
  • また、MLCの収支改善や企業価値向上には、一定時間を要するものであると考えており、しっかりと腰を据えて取り組むとともに、状況の変化に応じて適宜、計画の見直し等も進めてまいりたい。
  • 豪州生命保険マーケットは、中長期的には人口増加に伴い拡大が期待できることから、MLCの成長軌道への回復と中長期的な収益拡大に向け、MLCと当社が一丸となって取り組んでまいりたい。

質問19

外貨建保険については、生命保険協会会長として販売資格の導入等に取り組んでいると聞いていたが、昨今の報道を見て大変心配している。一連の状況について説明をお願いしたい。

回答

  • 金融機関窓口販売での外貨建保険の苦情については、業界全体の課題であるとともに、当社としても、非常に重く受け止めている。
  • 2019年度、当社の外貨建保険の苦情件数は保有件数の増加に伴い、対前年89件増加し、516件となった。なお、発生率については、対前年横ばいとなった。
  • 苦情の申し出内容については、解約した場合の金額が元本を下回ることに関するお問い合わせ等が多くなっており、「募集段階での説明強化」および生命保険の契約期間の長期性を踏まえた「定期的なアフターフォローの強化」が重要であると考えている。
  • 「募集段階での説明強化」に向けては、商品パンフレット等について、募集を行う金融機関の意見も踏まえ、よりお客様にとって分かりやすい資料とすべく、改良を継続して行っている。また、今年4月より、外貨建保険のリスクをお客様に説明する動画を、商品パンフレットに掲載のQRコード等からご覧いただけるようにしている。
  • 「定期的なアフターフォローの強化」に向けては、今年4月より、当社からお客様に毎年の定期通知物が届くタイミングに合わせて、金融機関がお客様に契約内容等を説明できるよう資料を新設し、お客様へのタイムリーな情報提供ができる環境を整えている。
  • 生命保険協会としても、金融機関の募集人が外貨建保険の特性・留意点を踏まえたうえで、丁寧かつ充分な説明を行うことができるよう、業界共通教育制度に「外貨建保険販売資格試験」を追加し、今年10月から開始する予定としている。
  • 今後も、金融機関との対話を通じて、外貨建保険の苦情縮減・抑制に向け、不断の取組を行ってまいりたい。
  • QRコードは株式会社デンソーウェーブの商標


当日席上での質問に対し、以下の質問について議長から回答を行った。

【決議事項 第6号議案】

質問20

関西電力の元会長の八木氏に対し慰労金が贈呈されることになっているが、昨年、不祥事により日本生命の社外取締役を任期途中で退任し、会社に対し迷惑をかけたのではないか。さらに、関西電力の取締役責任調査委員会による報告等を受け、責任追及の訴えを提起されている中で、退任慰労金等に関する規程に従い支払うことは適切なのか。慰労金の減額や辞退を促す等の検討をしてもよいのではないか。

回答

  • 関西電力の元会長の八木氏については、2017年より当社の取締役を2年3カ月お務めいただき、取締役会等で様々なご意見を頂戴した。
  • 具体的には、当社が海外等にグループ事業を展開するにあたっての経営としての心構え、具体的に留意すべき点等について、自らの経験も踏まえ、多数の有用なご意見を頂戴した。とりわけ社内やグループ内で共有すべき理念のあり方、また海外子会社等が重視すべき数値や指標、そして撤退を視野に入れる際の考え方等、当社のグループ事業の展開において参考にしてきた。
  • この慰労金贈呈は、あくまで当社での功績に対するものであり、関西電力における不祥事とは直接的には関係しないと考えており、八木氏の在任期間中の功労に報いるべく退任慰労金を贈呈したいと考えている。

【議案の審議終了後】

質問21

新型コロナウイルス感染症の感染が拡大している状況での生命保険の営業では、AI等を活用しつつ、引き続き、フェイス・トゥ・フェイスで思いやりのある、親身になった営業が重要だと考える。日本生命として、こうした様々な環境変化に対応した新しい時代の営業のあり方を開拓し、推進していっていただきたい。

回答

  • 当社では、引き続き対面営業を基本としながらもデジタル等を自在に活用できる、営業職員チャネルを目指してまいりたいと考えている。
  • 今回の緊急事態宣言下において、お客様にデジタル等を活用しコンタクトを取った際、お客様が便利さを感じていただいているのは事実である。
  • 一方で、実際にお会いすることで、お客様と営業職員が、お互いの表情、声、しぐさ等を通じて分かり合い、さらに時間と場所を共有することで信頼が深まると考えている。また、様々な会話の中で、お客様のニーズやご意向をより深く伺ったうえでコンサルティングを実施している。このような対面の持つ力の全てをデジタル等の活用で置き換えられる技術レベルには未だ至っていないと考えており、対面こそが持つコミュニケーションの力は今後も重要であると感じている。
  • 今後、お客様のご意向も確認しつつ、当社が130年以上大事にしてきた基本理念に基づく営業職員の対面営業に、デジタルを自在に組み合わせることで、新しい営業スタイルをつくっていく中でお客様に受け入れていただき、信頼いただけるような営業職員と、日本生命にしてまいりたいと考えている。

質問22

昨年度の総代会が後日動画配信されたことは素晴らしく思う。今後も継続してほしい。

回答

  • 総代会においては、総代から直接様々なご意見、ご質問をお伺いし、当社の経営に活かしてまいりたいと考えている。
  • さらに、より幅広く様々なご意見を頂戴すべく、引き続き、より開かれた総代会を目指してまいりたい。

以上

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