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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第97回 日経平均株価6年連続上昇。

2018年3月1日

2012年以降、日経平均株価は上昇

 1990年代前半のバブル崩壊後、日本株市場は長期に渡り低迷していました。しかし、2012年以降はアベノミクスや日本銀行の異次元緩和の影響により、2017年まで6年連続で上昇しています。特に2017年後半の上昇では、バブル期を基準にしたいくつかの節目を突破しました。2017年10月には衆議院選挙の自民党圧勝観測をきっかけに、10月24日、日経平均株価は史上初の16営業日連続上昇(バブル期は13営業日連続上昇)しました。その勢いは年が明けてからも継続し、2018年の取引初日には23,000円を超え、ついにバブル後の半値戻し(※後述)も達成しています。バブルから実に28年になります。戌年(いぬどし)の相場格言にかけて、年明け早々にさっそく戌が笑ったとニュースでも話題になりました。(※1)

(※1)干支に関する相場格言の1つで戌年は株価が上がり、笑いが止まらないとの比喩

図表1: 日経平均株価の推移(1984年1月〜2018年1月)

(資料)Datastreamより筆者作成

2018年1月にバブル後の半値戻しを達成

 半値戻しとは、株価が大きく下落したのち、直近の高値の半分まで株価が戻ることを指します。日経平均株価のバブル期の高値は1989年12月末の38,915円、バブル後の安値は2009年3月の7,054円です。この半値戻しの値は22,985円になります。大きく下落した株価が安値から半分まで戻すには、上昇する根拠が必要となります。半分まで戻すということは、投資家が日本株を積極的に買う材料があり、前向きな姿勢であったとも言えるかもしれません。

株価上昇の背景は

 過去28年間超えることができなかった半値戻しを達成した大きな理由として、企業の業績拡大があげられます。EPSは企業の1株あたりの利益を計測する株価指標の1つです。EPSの数字が高いほど、企業には稼ぐ力があるということを表します。日経平均株価の今期予想EPSは、2018年1月時点で1,500円を超える過去最高レベルで推移しており、株価上昇の原動力になっています。今回の株価上昇に対しバブルとの声も一部ありましたが、業績拡大に裏づけされた根拠ある上昇だといえるでしょう。

図表2:日経平均と予想EPSの推移

(資料)QUICKより筆者作成

最後に

 日経平均株価がバブル後の半値戻しを達成するまでに28年かかったことを考えると、ここからすぐにバブル期の高値を目指すのは難しい話でしょう。地政学リスク、米トランプ政権の不安定化、金利の急激な上昇など注意が必要です。とはいえ、比較的堅調な世界景気のもと、引続き企業業績が拡大傾向を継続し、2018年の終わりには“戌笑う“を実感できるような年になることを期待しています。

(ニッセイ基礎研究所 森下 千鶴)

筆者紹介

森下 千鶴(もりした ちづる)

株式会社ニッセイ基礎研究所、金融研究部
研究・専門分野:株式市場・資産運用